「野紺菊(のこんぎく)」煉切製:森八
紫色と白にぼかし染めた煉切で餡を包みまるめ、十六枚の花びらの型を押し、中央部を小さな黄色い円形に染め、野紺菊を写しています。
この菊の意匠は、日本の旅券(パスポート)の表紙に表示されている紋章(十六一重表菊)と同じですね。
野菊(のぎく)とは、野生の菊の総称のことで、種類はいろいろありますが、最もよく見かけるのが、この野紺菊です。
その名の通り、野に生える紺色の菊という意味で、山野のいたるところに咲き、素朴で野趣にあふれています。
花期は8〜11月で、中央は黄色、その周りに細長い白や淡紫色の花びらを多数つけます。
この時期に咲く野の花には、これからさらに寒い季節へと向かっていく哀愁のようなものが込められているように感じますね。