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重菊(梅園)

「重菊(かさねぎく)」煉切製:梅園 

紫と白にぼかし染めた煉切で小豆こし餡を包み、表面に千筋を付けます。さらに、菊の花びらに見立てた波形の型を押し、黄色い煉切の花芯を付け、羊羹製の葉を添えたお菓子です。 

 

「重菊」という銘からは、数多くの菊花が重なり合うように咲いているというイメージですが、そればかりでなく、無数の花弁がうろこ状に重なり合い、整然と組み上がった菊花そのものをも連想しますね。 

 

黄金色の花芯から発せられたように見える規則正しい無数の筋は神々しい光にも見えます。 

 

また、シンプルな半円状の連なりは、紫の落ち着いた雰囲気の中に、小気味良い躍動感を生み出していますね。 

 

この手のお菓子は、見る方向を変えると、またがらりと趣が変わり、新鮮な気持ちで何度も鑑賞できる楽しみがあります。