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菊畑(一炉庵)

「菊畑(きくばたけ)」錦玉・淡雪製:一炉庵 

薄紫色とベージュ色に染め分けた羊羹シートを菊の形に抜きます。樋形舟の底に型抜きした二色の羊羹を順番に並べ、半分くらい錦玉液を流し入れ、錦玉が固まりかけたところに大納言小豆の蜜漬けを置きます。さらに小豆が水没する位置まで錦玉を加え、固まりかけたところに薄緑色に染めた淡雪を流し入れ冷やし固め、最後に樋形舟から取り出し、等間隔に切り分けて完成です。 

 

 

菊は気品と清香に富む風格の高い花で、蘭、竹、梅と共に、草木の中の君子(四君子:しくんし)として愛され親しまれてきました。 

 

それゆえ、さまざまなものに意匠され、この時季の茶菓子にもしばしば登場する人気の主題ですね。 

 

和菓子職人さんの技術が最大限に生かされる手技(てわざ)で作られた煉切製の菊が主流の中、錦玉を見事に生かした今回のお菓子は斬新さが目を引きます。 

 

この独特の形から、陰干しした菊の花を枕の中に詰めた「菊枕(きくまくら)」をも連想しました。 

 

今年の夏にすでに紹介しましたが、このお菓子の姉妹編のお菓子があります。 

 

「夏の彩(なつのいろどり)」錦玉・淡雪製:一炉庵 

 

 

冬や春も同系統のお菓子があって美人四姉妹になると楽しいでしょうね。