月と日にちが奇数のゾロ目になる日、1月1日、3月3日、5月5日、7月7日はそれぞれ、お正月、桃の節句、端午の節句、七夕で、重要な年中行事を行う日としてあまりにも有名ですね。
で、9月9日も実は、「重陽(ちょうよう)の節句」というのがちゃんとあるのですが、今ではほとんどすたれてしまい、無名のものになっています。
この重陽の節句は、ひとことで言えば、菊に長寿を祈る日なのです。
古代中国では菊は邪気を祓い長生きする効能があると信じられていました。その中国の影響を受けて日本でも、菊酒を飲んだり、菊に関する歌合わせや菊を鑑賞する宴が催されていたのです。
その中でも特に興味深いのが、「菊の着せ綿」という風習です。これは、重陽の前日、8日の夜に菊に綿をかぶせ、9日に露で湿ったその綿で体を拭いて長寿をお祈りするというもので、和菓子のテーマとしてもよく用いられています。
今日はこの雅な風習にちなんだお菓子を集めてみました。
「着せ綿(きせわた)」こなし製:両口屋是清
クッションのような独特な形が特徴です。綿に見立てたそぼろは、控えめに添えられています。
「被綿(きせわた)」煉切製:森八
真っ白なそぼろに引き立てられて、紫色の菊がよく映えてきれいですね。
「着せ綿(きせわた)」煉切製:千草庵
綿に見立てたそぼろを豪快に多めに盛り付けています。下の菊花の花びらの造形も見事です。
「着せ綿(きせわた)」こなし製:豊島屋
ピンク色に染めたこなしで白小豆こし餡を包み、ヘラで菊の花をかたどり、その上に白いそぼろをのせています。そぼろのきめの細かさが特徴です。
「着せ綿(きせわた)」こなし製:両口屋是清
白い煉薯蕷製のそぼろを綿に見立て、紅色に染めたこなしで作った菊の上にのせています。
「着せ綿(きせわた)」煉切製:田園調布あけぼの
上にのせた白いそぼろの量が少なめなのが特徴です。
「菊のきせ綿( きくのきせわた)」外郎製: 福壽堂秀信
外郎製の菊花の色合いや質感がとてもやわらかで、より優雅さを増しています。
「着せ綿(きせわた)」煉切製:花見
ピンク色に染めた煉切で小豆こし餡を包み、手技で菊の花をかたどります。その上に、綿に見立てた三色のそぼろと、羊羹製の緑の葉を添えています。
「着せ綿(きせわた)」煉切・雪平製:ささま
綿をのせるのは花の上で、葉っぱではないのですが、ささまさんは、菊特有の入り組んだ輪郭の葉をかたどり、綿に見立てた雪平餅と合わせています。