「着せ綿（きせわた）」煉切製：花見
ピンク色に染めた煉切で小豆こし餡を包み、手技で菊の花をかたどります。その上に、綿に見立てた三色のそぼろと、羊羹製の緑の葉を添え、「着せ綿」の風習を表現したお菓子です。
旧暦の9月9日は陰陽道の考え方から、縁起のよい陽数（奇数）の最大値である9が重なることから、「重陽（ちょうよう）の節句」と呼ばれています。
この日、平安時代の宮中では中国の風習に習い、菊を鑑賞し、菊の花を浮かべた酒を飲み、不老長寿を願っていました。
さらに、「菊の着せ綿」という日本独自の風習もありました。
これは、重陽前夜、菊の花を真綿で覆って夜露と香りを移しとり、翌朝、その綿で体や顔を拭うというもので、これによりいつまでも若さが保て、長生きができると信じられていたのです。
着せ綿については『枕草子』や『源氏物語』などをはじめ、古典文学に多く記されています。
今では廃れてしまったこのような優雅な風習が、和菓子の世界で、ずっと何百年も受け継がれてきていることは本当に素晴らしいことですね！
菊の花の上に色とりどりの綿をのせて、着せ綿をおこなっています。
（出典：http://ikuiku-1919.at.webry.info/201309/article_5.html）