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山路の菊(とらや)

「山路の菊(やまじのきく)」薯蕷製:とらや 

白い菊花をかたどった薯蕷饅頭に緑色のこなし製の一葉を添えたお菓子です。中は小豆こし餡。 

 

300年以上前の、正徳元年(1711)にはじめて創作されたという歴史ある逸品です。 

 

つくね芋をとろろ状にすりおろし、上用粉(うるち米から作られる粒子の細かい粉)と上白糖を加えて、よくもみ込み生地を作ります。これで餡を包みまるめ、木型に入れて菊をかたどり蒸しあげると完成です。

 

 

秋の山路にひそやかに咲く白菊の一輪が、美しいお菓子に姿を変えましたね。 

 

雪のように美しい純白と、独特のモチモチ感はつくね芋に由来するものです。 

 

薯蕷饅頭の要でもあるつくね芋は、芋の風味が強く適度にコシがある石川県産を使用しているそうです。 

 

また、小豆は、味わい豊かで、色艶や舌触りの良い北海道十勝産の「エリモショウズ」という品種を用いています。

 

 

”高貴な人に供する上等な餡”という意味を込めて、とらやさんでは特別に「御膳餡」と呼んでいる美味しそうな小豆こし餡が、ぎっしり詰まっています。 

 

素朴な薯蕷饅頭も、さらにひと手間かけて、木型で成型したり、外付けの葉を添えたりすると、上品で気高い趣になるのが楽しいですね。