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しののめ菊(鶴屋吉信)

「しののめ菊(しののめぎく)」焼皮製:鶴屋吉信 

紫と白に染め分けた二枚の薄い焼皮を重ね合わせて小豆つぶ餡を包み、花びらのように折りたたみ、中央に黄色いみじん粉を散らしたお菓子です。

 

 

しののめ菊は、別名ユウゼンギク(友禅菊)、メリケンコギク(メリケン小菊)とも呼ばれるキク科の多年草です。 

 

原産地は北アメリカなので、英名はニューヨークアスター(New York Aster)といいます。 

 

晩夏から秋にかけて、白、紫、赤、ピンクなど様々な色の小ぶりの花を次から次へとたくさん咲かせます。 

 

 

しののめ(東雲)とは、夜が明けようとして東の空が明るくなってきたころという意味で、この菊の花色が白み始めた明け方の空の色を思わせるところから付けられたようですね。 

 

しののめは、本来「篠の目」のことで、大昔の住居にあった、篠竹を編んで作られていた採光用の窓のことを指します。 

そこから転じ、その篠の目から光が差す頃、つまり夜の明け方を指す言葉にもなり、東の雲がわずかに明るくなる頃という意味で「東雲」という漢字が当てられたそうです。 

 

このような美しい和名が、お菓子の品格をさらに高めてくれますね。