「桃の実(もものみ)」外郎製:坂根屋
ピンク色と淡黄色にぼかし染めた外郎生地で白こし餡を包み。手技で桃をかたどったお菓子です。
このところの暑さ続きで、もっと冷たくもっと冷んやりした刺激をと、舌の方が求めてきます。
そこで、邪道ではありますが、今回はこのお菓子を凍らせて食べてみることにしました。
白こし餡を凍らせるとアイスクリームのような食感になりそうなイメージだし、それを柔らかい餅系の生地で包み込む形態は、どこかで見たような。。。
そう、年間70億円もの売上があるという、かの有名な「雪見だいふく」のイメージに似ていますね。
なら、きっと美味しいはず!
冷凍庫から取り出し、菓子皿の上に盛り付けると、結露によってできた微細な水滴が表面に付着し、桃の実特有のビロードのような質感になっています。
朝露をのせて初々しく輝いているような姿が美しいですね。
チャームポイントは、可愛らしい赤ちゃんのお尻にも例えられる、すっきりとした一筋の割れ目ですね。
見事なヘラさばきでくっきりと描かれています。
断面を見ると、真っ白な餡の中に鮮やかな緑色の小片が入っています。これは桃の幼果(グリーンピーチ)の蜜漬です。
桃の実を大きく美味しく成長させるためには、約8割もの幼果を間引くそうなんです。
この間引かれた幼果を廃棄してしまうのはもったいないので、蜜漬けにし、そのまま食べたり、お菓子作りなどにも利用されています。
さてさて、気になるお味ですが、凍った白こし餡の食感はアイスクリームのそれとは全く別物でした。
アイスクリームが凍っているのになめらかなのは空気のおかげです。攪拌しながら凍らせることで空気が細かい気泡になって取り込まれ、なめらかな口あたりになるのです。
ですから、アイスクリームがフワッと軽い食感なのに対し、凍った白餡は、ねっとり重い食感となってしまいました。
また、餅は凍らせると、カッチカチになりますが、外郎生地はそれほど硬くならずにサクサク噛めます。しかし、あのモチモチ感は半減していました。
唯一救いは、グリーンピーチ!
サクッという食感とともに、新鮮な桃の風味がジュワッと広がり、白餡のとろけるような甘さともよくマッチしていました。
最終結論:「上生菓子は常温で食べるべし」