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岩もる水(両口屋是清)

「岩もる水(いわもるみず)」道明寺羹・羊羹製:両口屋是清 

道明寺羹がやや冷めたところに、一晩蜜漬けしておいた小豆を入れ、均等になるようにまぜます。金枠を斜めに置いて、まず小豆の練り羊羹を流しこみ、次に緑の練り羊羹を流し、固まりかけたら枠を真っすぐにして、最後に小豆入りの道明寺羹を流し固めて完成です。 

 

小豆羊羹で岩肌を、緑に染めた羊羹で草木を表し、道明寺羹の部分は岩を濡らし輝かせながら湧き出てくる清水を写しています。 

 

天然に湧き流れ出す清冽(せいれつ)な水はいかにも涼しげで、夏の季語になっていますが、そろそろ時期的には清水をテーマにしたお菓子も見納めですね。 

 

山に降った雨水が、地面にしみ込み伏流水となり、地中深く永い年月をかけて、いろいろな土壌や岩盤の中を流動し、天然のろ過フィルターにかけられ、純度の高いおいしい水に変化していきます。 

 

鉱石に含まれる天然のミネラル成分をたっぷり取り込んだ清水が湧き出てくる岩場は、夏のオアシスですね。 

 

山中で偶然見つけた時には、誰にも内緒の秘密の場所にしておきたいような、でも、「美味しい天然水が飲める場所があるよ」とふれ回りたいような、複雑な気持ちになります。