· 

深緑(森八)

「深緑(ふかみどり)」きんとん製:森八 

手芒豆の白餡を芯にして、そのまわりに緑色と薄緑色にぼかし染めたそぼろを植え付けて、夏木立を写しています。 

 

 

夏の山に入ると、緑のあまりの濃厚さに、めまいすら感じてしまうことがあります。木々が猛烈な日差しの中で青々とした葉を茂らせ、呼吸し、生気にあふれかえっています。 

 

木が群がって生えていることを木立といいますが、特に夏の青々と繁る樹木を「夏木立(なつこだち)」といいます。

 

この言葉は、夏の間中使える季語ですが、その時期によって多少趣が異なります。 

 

初夏の木立は若葉が爽やかに風にそよぐイメージ。仲夏になると、恵みの雨によりさらに鬱蒼と葉 を茂らせた光景になり、晩夏には、気づかないくらいわずかに勢いを弱めた陽射しの中で、深緑色の濃い影を落とす木立に変化します。

 

このお菓子は、発売時期と、菓銘から察するところ、晩夏の木立を写しているようですが、このなんともやさしい緑色は、晩夏というより、初夏の新緑のイメージですね。 

 

菓銘もわざわざ「深緑」と銘打っている割には、深みが足りない感じです。もう少し濃厚な色彩にした方が季節にマッチしたような気もします。

 

でも、この爽やかな色合いがかえって、木々の間のひんやりとした空気感や、爽快な緑の香りを連想させ、これはこれでまた違った趣が味わえていいのかもしれません。