· 

涼風(大倉山青柳)

「涼風(りょうふう)」煉切製:大倉山青柳 

 

繊細に描かれた、涼やかなホタルの絵柄が見事です。柄の部分は竹串を挿しています。

 

 

団扇は涼を取る以外にも、焚物の火を盛んにしたり、蚊や蝿を追い払うなど、用途はさまざまですが、団扇といえば必ず思い出す子供の頃の光景があります。 

 

私の母は大の散らし寿司好きで、毎週日曜日には決まって散らし寿司を作っていました。 

 

ご飯が炊きあがり、少し蒸らしたあと、ご飯を大き目の寿司おけに移して山高に盛ります。その上から合わせ酢を回しかけたあと、いよいよ団扇を持った子供たちの出番です。 

 

母親がしゃもじですし飯を切るように混ぜ合わせている横から、母の号令のもと、我々が団扇で一斉にあおいで冷ましていくのです。 

 

団扇で風を送り、水分を飛ばし、ご飯がベタベタになるのを防ぐのと、あら熱をとることで酢のツンとくるきつい匂いを逃がし、すし飯特有のよい香りをだし、ご飯のつやもよくなるという意味のある大切な役割だと母親から毎回のように聞かされたものです。