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織姫(長嶋屋)

「織姫(おりひめ)」煉切製:長嶋屋 

薄紅色の煉切を糸巻(いとまき)の形に整え、小豆こし餡を包みます。紅色に染めた煉切を細くして糸に見立て、巻きつけ、糸巻に色糸が巻かれた姿に仕上げたお菓子です。

 

七夕にちなんだ上生菓子の意匠で一番多いのが、天の川を表現したものです。さらに、バリエーションとしてよく用いられるのが糸巻です。 

 

織姫は、機(はた)を織るのがとても上手で、毎日、機を織っていたことにちなみ、機織りに欠かせない糸巻が七夕のモチーフにされることがあります。

 

糸巻の意匠の多くは、四辺が内に少しへこんだ板状のものと、四本の縦木のある苧環(おだまき)と呼ばれる糸巻きがあります。

 

苧環 

 

長嶋屋さんのこの作品は板状の糸巻であり、十字に糸を巻きつけたデザインになっています。縦巻きの糸は型押しで作る糸巻本体の方にあらかじめデザインされていますが、横巻きの糸は別に煉切製の糸を作り、実際に巻きつけてあります。

 

機織(はたおり)に長けた織女(しょくじょ)にあやかり、裁縫などの技芸の上達を願って食べるとよいお菓子ですね。