· 

天の川(とらや)

「天の川(あまのがわ)」琥珀製:とらや 

平枠型に白練り羊羹(白小豆こし餡に寒天を加えて練り上げたもの)を、空を横切る天の川として斜めに一本置き、緑色に染めた錦玉液を薄く流します。 星に見立てた白ごまを数粒散らして、少し固まったところで2回目を流し、少しおいて3回目の錦玉液を流し入れて固めたお菓子です。

 

夏の夜空を彩る天の川を表現したこのお菓子、年に一度の牽牛・織姫の逢瀬である七夕にちなんだもの。 

 

現代的な洗練された意匠ですが、大正7年(1918年)に初めて創作されたとは、驚きでです。

 

寒天液に砂糖や水飴などの甘味を加えて固めたものを錦玉羹(きんぎょくかん)または琥珀羹(こはくかん)といいます。 

 

錦玉は主に関東、琥珀は関西で使われる言葉で、江戸時代には金玉(きんぎょく)の名称の方が一般的でした。

 

一般的に錦玉羹と琥珀羹は同じものをさしますが、特別にクチナシ色素等で色付けしたものや糖度が高く色づいた錦玉を区別して琥珀羹ということがあります。

 

いずれにしても、透明感が売りのお菓子ですが、寒天で澄んだ透明感を出すのは非常に難しいそうです。

 

糖度(含糖量)が上がれば、色焼けし琥珀色になってしまい、また、逆に糖度が低いと白濁してしまう。さらに糖度以外の要素も関係していて、急激に冷やしたり、冷やしすぎも濁りの原因になるようです。

 

ほんとうに、奥が深いですね。