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男の柏餅

 

当図鑑のフォロワーの方から情報をいただいた「男のかしわ餅」を求め、今日は三浦半島の先端にある三崎漁港へ行ってきました。 

 

私の住んでいる横浜からは京浜急行電鉄に乗って終点の「三崎口」まで行き、そこから路線バスに乗り換え「三崎公園」で下車、徒歩数分のところにある「嶋清(しませい)」さんがお目当ての和菓子屋さんです。 

 

横浜駅から遠ざかるにつれて、車窓に占める緑の面積がどんどん増していき、否が応でも旅行気分を盛り立ててくれます。 

 

日増しに若葉のみずみずしさがまぶしくなる季節、さわやかなグリーンが、やさしく気持ちを癒してくれます。 

 

最初、空いた席はなく、しばらく立っていましたが、一駅ごとに乗客が減り、ついに三浦海岸駅では一車両貸し切り状態になりました。

 

都会ではめったに見られない車内風景に思わずパシャリ。 

そうこうするうちに、三崎口駅へ到着しました。

 

電車でほんの1時間揺られただけですが、降り立った場所のなんともゆったりとした空気感には驚かされましたね。

 

 

平日の午前10時半という時間帯のため、乗降客はわずか。駅の階段もこのありさま。人っ子一人いないおかげで、階段に描かれた歓迎のイラストもきれいに撮れました。

 

神奈川県の三浦半島にある三崎漁港は、全国有数のマグロの水揚量を誇る港です。三崎口は、その名の通り三崎漁港への玄関口にあたるだけあって、駅構内はマグロ一色。

 

駅前にバスターミナルがあり、ここから三崎港まではバスで約15分ほど。

 

三崎公園のバス停で降りると、濃厚な潮の香りとともに、すぐ目の前に漁港の風景が広がります。

 

天気はあいにくの曇り空ですが、マグロ、まぐろ丼、漁師料理、○○丸と書かれた料理屋の看板が立ち並ぶ光景に、魚好きの私は心が浮き立ちます。

 

和菓子屋さんに直行したい気持ちを抑えて、しばし港を散策することにしました。 

 

「男のかしわ餅」はすでに電話予約で取り置きしてもらっているので、焦らなくて大丈夫〜(^^♪ 

 

 

三崎漁港の対面には城ヶ島があり、これが自然の防波堤の役割を果たしているため、天然の良港になっているのです。その島へとつながる橋。

 

歩き回って、少しおなかがすいてきたので、早めの昼食をいただくことにしました。

 

まぐろを売りにしているお店がたくさんあり、迷いましたが、お目当ての和菓子屋さんのはす向かいにあるということで、こちらのお店に決めました。

 

地魚料理店「有魚亭(ゆうぎょてい)」さん。 

 

古い蔵を改装してお店にしたというだけあって、とても雰囲気のある店構えです。 

 

メニューはもちろんマグロ尽くしです。

 

刺身はもとより、づけ丼、鉄火、にぎり、竜田揚げなど、どれもおいしそうですぐには決められません。

 

 

こんな写真付きのパネルまで用意されていて、期待値が一気に上がります。 

 

結局、シンプルにまぐろ刺身膳にしました。 

 

中トロの程よくとろける脂ののりと、旨みのバランスが最高でしたね。 

 

 

さてさて、散々じらしてしまいましたが、いよいよ本題の「男のかしわ餅」とのご対面といきましょう。

 

「嶋清」さんは三崎銀座通りにある創業100年を越える老舗で、現在6代目のご主人と7代目の若職人さんが二人で丁寧に作っています。 


 

ジャジャ〜ン! 

 

こちらが、「男のかしわ餅」です。 

 

これは、神奈川県内の和菓子屋さん約400店舗が加盟する菓子工業組合が2014年に考案したスペシャルな柏餅なのです。

 

 

お餅を柏葉で包んだ姿は一見、普通の柏餅と変わりません。 

 

 

そろりと葉っぱをはがしてみると、色白ですべすべの美しいお餅が姿を現しました。 

 

普通の柏餅よりも腰高で、二倍ぐらいの大きさがあります。このボリューム感なら男性でも十分食べごたえがありそうです。

 

上新粉で作られたお餅の質感はとてもなめらかで、上部の生地が薄くなっている部分では中のこし餡がほのかに透けて見え、食欲をそそられますね。 

 

いろいろな角度から写真を撮っているうちに、口の中はもう唾液の洪水。 

 

ついに待ちきれず、思わずひと口パクリ。 

 

口に含んだとたん、酸味とともにリキュールのような芳醇な汁液が広がり、それを包み込むように小豆こし餡の上質な甘さが時間差で重なります。

 

こんなジューシーな柏餅は初めて! 

 

なんと、中に大粒のいちごがひと粒まるごと入っていたのです。

 

 

いちご大福の柏餅バージョンですね。 

 

柏餅の中にいちごを入れるという大まかなレシピは共通ですが、餡やいちごの種類、大きさ、形などは各和菓子店が自由に設定できるという面白い企画です。

 

2014年には、県内の約140店で売り出され、期間中に総計約3万個も売れたそうですよ! 

 

「男性が一人で食べても、家族で分けて食べても満足できる」というコンセプトから、「男のかしわ餅」と命名されたそうです。 

 

漁から帰ってきた海の男たちが、男の柏餅を食べて疲れを癒す。そんな光景をも想像させられるネーミングの妙に、思わずニンマリしてしまいました。 

 

今年もいろいろな柏餅をいただきましたが、この嶋清さんの逸品が抜群に美味しかったですね! 

 

三崎漁港まで行った甲斐がありました。