「桃の花(もものはな)」きんとん製:いづみや
ピンクと白の二色のきめの細やかなそぼろを白こし餡のまわりに植え付け、煉切製の桃の花を添えたお菓子です。
糸のように細やかなそぼろが圧巻ですね。
そぼろ作成用のふるい(そぼろ漉し)には、竹製や金属製の他に馬の毛を使って作られた「毛篩(けぶるい)」があります。
きめの粗い太めのそぼろは、竹製や金属製ふるいで漉し出しますが、このお菓子のように、きめ細やかな繊細なそぼろを作るときには毛篩が欠かせません。
金属製のものは漉す時に素材の中の繊維が切れてしまい、漉した後のそぼろに繊維が混じってしまいますが、馬の毛はその弾力で繊維を押し返すので、繊維が混ざらず、とても口当たりの良いそぼろができます。
また、天然の毛には細かいキューティクルの凹凸があるので、同じ目の他の材質のものよりもそぼろの粒子をさらに細かくできます。
そして、何より素材に金気をうつさず、本来の風味を損ねないという利点があるのです。
上生菓子作りに欠かせない道具ひとつとっても、いろいろな創意工夫があり、知れば知るほどその奥深さに驚かされますね。
上生菓子の美しさや美味しさは、このような無数のこだわりの積み重ねの上に成り立っているんですね!