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「喜利家」さん

 

今日は休日。朝、目覚めるとまず、どこの和菓子屋さんに行こうか寝床の中で考えるのが習慣になっています。

 

しばらくおじゃましていなかった「喜利家(きりや)」さんのことがふと頭をよぎりました。 

 

最近、行きつけの和菓子屋さんが相次いで店じまいしてしまったこともあり、おじいちゃん職人が細々とやっているこのお店のことが気に掛かったのです。 

 

喜利家さんは横浜市神奈川区にある創業明治40年という100年以上歴史のある老舗です。

 

 

すっかり寂れてしまった商店街にあって、表に幟や立て看板などもなく、知らずに通り過ぎてしまうような目立たないお店ですが、4年に一度開催される全国菓子大博覧会で数々の賞を受賞している隠れた名店なのです。 

 

イチオシは「ゆず最中」 ! 

 

 

最中好きでもある私は今まで相当な種類を食べてきましたが、ここの最中は三本の指に入ると思います。 

 

最大の特徴は、最中を砂糖でコーティングしている点。

 

 

まるで陶磁器のうわぐすりのように、上塗りされた砂糖が自然にひび割れて、貫入(かんにゅう)のような趣になっているのがなんとも美しいですね。 

 

見た目だけでなく、生ゆずの皮をすりおろしたペーストと白あんを混ぜたあんがこれまた最高に美味しい! 

 

これを「とらや」さんや「鶴屋吉信」さんなどの大手で売り出したら、たちまちベストセラーになりそうなお菓子ですが、隠れた銘品を独り占めしているような特別感を密かに楽しんでいます。 

 

 

さて、そろそろ本題の上生菓子に移りましょうね。 

 

このお店の上生菓子は種類は少ないですが、丁寧に作られていてとても品格があります。 

 

今日は二種類ありました。 

 

「紅梅(こうばい)」煉切製:喜利家 

ピンク色に染めた煉切で小豆こし餡を包みまるめ、手技にて梅の花をかたどり、黄色いそぼろのしべを添えたお菓子です。 

 

その均整のとれた姿から、最初木型ものかと思いましたがへらを使って精密に作られたものです。

 

断面を見ると、こし餡をまず白い煉切で包み、さらにピンクの煉切で包んでいるのがわかります。これはこし餡の黒い色が透けてピンクの生地の色がくすまないように配慮した隠れたひと手間なのです。 

 

「野の花(ののはな)」きんとん製:喜利家 

緑と白につぎ分けたそぼろを柚子風味の小豆つぶ餡の周りに植え付け、野花に見立てたきめの細かい薄紅色のそぼろを添えたお菓子です。 

 

ほろほろとこぼれるような春の陽射しを感じる心温まる逸品です。 

 

これからもお元気で、できるだけ長く素敵なお菓子を作り続けてもらいたいですね。