· 

長の春

「長の春(とこしえのはる)」こなし製:とらや 

紅色と黄色に染め分けたこなし生地で白小豆こし餡を包み、水仙をかたどった木型で押し抜いたお菓子で、大正時代(1912〜26年頃)にはじめて創作されました。 

 

雪消えとともに芽生え、清楚な花を咲かせる水仙は春を告げる花として親しまれています。そんな水仙にあやかり、春の喜びが永遠に続くことを願い「長の春」と命名されたそうです。

 

このお菓子とよく似た姉妹品のような一品を2014年に購入していて、これが今回混乱をまねくもとになってしまったのです。 

 

「氷の上(こおりのうえ)」こなし製:とらや (2014年) 

 

こうやって並べてみると明らかにちがうのですが、私の記憶の中では今回の「長の春」が「氷の上」と同じ木型のものだと勘違いしてしまい買わないでいました。 

 

ある日、過去三年分のとらやさんの上生菓子パンフレットを整理していた時に、偶然、前に購入したものと今回のものが違うことにはたと気づいたのです。 

 

しかも気づいたその日がよりによって販売最終日の夜7時半。 

 

売り切れ覚悟で、いちかぱちか売れ残っていたら儲けものと腹をくくり、大急ぎで閉店間際のお店に飛び込みました。 

上生コレクターとしては買い逃してしまうほど悔しいことはありません。なにしろ同じお菓子を買おうと思うと一年待たなければならないですし、来年もまた同じお菓子が出る保証もないのですから。 

 

新しい意匠を見つけたら、とにかくその時点で買っておかないと、同じものは二度と手に入らないぐらいの心構えでいないといけません。 

 

そんな熱意が伝わったのか、今回なんと奇跡が起こったのです。 

 

6種類ある上生菓子のうち5種類は売り切れでしたが、「長の春」のみが2個残っていたのです! 

 

その最後の2個がショーケースの中で燦然と光り輝いていましたね (^^♪