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里の桜(山種美術館)

 

今日のお菓子の題材となった作品は、土田麦僊(つちだばくせん)の《大原女(おはらめ)》です。 

 

麦僊は大正から昭和時代に活躍した新潟県出身の日本画家です。 

 

土田麦僊《大原女》1915(大正4)年 

(出典:http://www.yamatane-museum.jp/exh/current.html) 

 

中央に満開の桜を配し、左隻には水車小屋と竹林、右隻には歩みを進める三人の大原女を描いた屏風絵です。 

 

大原女とは、 大原の里から農作物を売りに行く娘さんのことです。 

 

(出典:http://www.yamatane-shop.com/product/209) 

 

こちらは右隻の部分を拡大したもので、大原女が頭にのせた柴のかたちがお菓子のモチーフになっています。 

 

「里の桜(さとのさくら)」錦玉・煉切製:菊家 

肉桂風味の煉切で小豆こし餡を包みまるめ、黄色く染め薄く作った錦玉に千筋を付けたものをのせます。さらに、グラス絞り羊羹で柴を束ねる縄を描き、淡雪羹製の桜花を散りばめたお菓子です。 

 

土田麦僊の作品の特徴は、「鉄線描」と名付けられた、まっすぐで迷いのない鋭い描線にあります。 

 

淡雪羹や錦玉の持つ明晰な輪郭が麦僊の画風にうまく調和していますね。