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夢の中(山種美術館)

 

山種美術館で開催されている「速水御舟(はやみぎょしゅう)」展にちなんだ、オリジナル和菓子のパート3です。 

 

今日のお菓子のテーマはこちらです。 

 

速水御舟《花ノ傍》(1932年) 

(出典:山種美術館HP) 

 

編み物をしている和装のご婦人の奥にはダリアの花、足元には白い犬が寝そべっている絵です。 

 

この絵のモデルとなったのは、御舟夫人の遠縁にあたる人で当時二十歳の吉田花子さんという方だそうです。

 

着物や帯、テーブルクロス、椅子の縞模様の対比が面白い作品ですね。 

 

女性の頭の上に配置された花は髪飾りのようにも見えます。 

 

御舟は最初に構図と色を想定してこの絵に取り掛かりましたがうまくいかず、二度のやり直しを経てようやく完成にこぎつけたそうです。 

 

この絵は山種美術館の所蔵ではなく、株式会社歌舞伎座が所有しています。 

 

「夢の中(ゆめのなか)」煉切製:菊家 

水色に染めた煉切と小豆こし餡をつぎ合わせて長方形にのばし、二つ折りにして白こし餡を包みます。さらに、その上に緑のそぼろと羊羹製の花を添えたお菓子です。 

 

二色の生地は女性が着ているモダンな縦縞模様の着物を表しています。また、そぼろと花は絵の上部に描かれているダリアの花を写したものです。 

 

今回のお菓子は菓銘を付ける際にも試行錯誤があったそうです。 

 

まず、お菓子の銘を付ける時に、絵画の題名とかぶらないようにという基本方針があるそうで、「花」の文字は使えません。かといって「ダリア」は洋風の名前で日本画には合わないし、ダリアの和名「天竺牡丹」も一般的でなくピンときません。犬も脇役なので犬関連の銘も却下されました。 

 

そこで、改めて一歩ひいた位置から絵をよく見た時、女性の少し首を傾げたような仕草や、夢見るような表情に注目し、編み物をしながら将来の楽しい夢を想像しているイメージが浮かんだということで、最終的に「夢の中」という銘で落ち着いたそうです。 

 

実在の人物、花子さんは、84年後に今度は和菓子のモデルになるとは思いもよらなかったでしょうね!