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緑のかげ(山種美術館)

 

日本画専門の「山種(やまたね)美術館」に併設されたカフェ「Cafe 椿」で販売している上生菓子を紹介するシリーズ第5弾です。 

 

ここの上生菓子は、青山の老舗菓匠「菊家」さんに特注し、オリジナルで創作されたものです。 

 

10月8日〜12月4日の期間開催されている「速水御舟の全貌 ―日本画の破壊と創造―」展にちなんだ5種類の上生菓子を、今日から5日連続でお届けします。

 

今回紹介するお菓子は、大正〜昭和初期の天才画家、速水御舟(はやみ ぎょしゅう)の傑作《翠苔緑芝(すいたいりょくし)》にちなんだものです。

 

当館所蔵作品の中でも名作中の名作といわれる四曲一双の金地屏風絵で、両隻合わせると左右7メートルにも及ぶ大作です。 

 

速水御舟《翠苔緑芝》(1928年) 

(出典:http://bonappetit.exblog.jp/14571324/) 

 

右隻には枇杷の木と青桐に黒猫を、左隻には紫陽花と白兎が描かれていますが、今回のお菓子は左隻のみがモチーフになっています。 

 

この絵の中で、とりわけ特徴的なのが紫陽花で、この花を描くのに胡粉に重曹を混ぜて立体感を出すという斬新な技法が用いられているそうです。 

 

さて、この絵が菊家さんの手にかかると、こんな素敵なお菓子に生まれ変わりました。 

 

「緑のかげ(みどりのかげ)」煉切製:菊家 

金箔地の屏風を黄金色に染めた杏風味の煉切で表し、小豆こし餡を包みます。また、緑の芝をそぼろで表現し、淡雪羹製の白うさぎと、錦玉製の紫陽花を配したお菓子です。 

 

ツヤ感のある素材で描かれた主役たちが生き生きと輝いて見えますね。

 

このお菓子、見て美しいだけでなく、味わいも絶品で、今年いろいろ食べた中でもベスト3に入るくらいの美味しさです。 

 

他の店とは一線を画する菊家さんならではの独特の”コク”が味のポイントなのですが、一子相伝で伝えられる製法ゆえに、その秘密を知ることはできません。