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袖が香(山種美術館)

 

今日のお菓子のモティーフになったのは、鈴木春信の《梅の枝折り》です。

 

鈴木春信《梅の枝折り》 

(出典:http://www.yamatane-museum.jp/exh/2016/ukiyoe.html) 

 

塀の上の白梅を手折ろうと、草履を脱ぎ捨て侍女の背に乗り上がるお転婆な少女の無邪気さが微笑ましい一枚。人物を上下に重ねる構図は浮世絵の中でも珍しく、規則正しく並ぶ土塀の模様と二人の着物の流線が、画面の中で美しく調和しています。色遣いや情景も明るく、早春の爽やかさを感じさせる作品です。(出典:アダチ版画) 

 

この娘たちの愛らしさをお菓子でどう表現するのか、ワクワクしますね。 

 

「袖が香(そでがか)」煉切製:菊家 

橙色に染めた煉切生地を二つ折りにして緑色に染めた柚子餡を包み、羊羹と煉切で描いた白梅の枝をあしらったお菓子です。 

 

橙色の二つ折りの生地は少女の着物の袖を写しているようですね。よく観察すると、竹の型が押してあり、振り袖の竹柄を忠実に再現しています。 

 

また、上下に高さを変えて配した二輪の梅は、それぞれ少女と侍女を表しているように見えます。 

 

鈴木春信(すずきはるのぶ)は、初めて多色刷りの木版画を創出した歴史的に重要な浮世絵師です。春信によって江戸の浮世絵は、本当の意味でのカラー時代に入ったわけですね。 

 

こんなカラリスト春信に対し、柚子餡と煉切で色鮮やかなコントラストを描くことによって敬意を表しているようです。