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都の春(ささま)

「都の春(みやこのはる)」きんとん製:ささま 
ごくごく淡いピンク色と若葉色に染め分けた二色のそぼろを餡玉のまわりに植え付け、春爛漫の柳の芽吹きと、桜を表現したお菓子です。

撮影時の光の加減で、ピンク色のそぼろがオフホワイトに見えますが、実際はうっすらとピンク色がかっています。 


柳の枝葉があたたかな風に揺らぎ、桜が日をうけて咲き乱れるさまは、京の都の春の情景のひとつですね。 柳の若葉の緑色に桜の薄紅色が実によく映えています。 


さて、柳と桜といえば、思い浮かぶのが、「柳緑花紅(やなぎはみどりはなはくれない)(りゅうりょくかこう)」です。 

春の上生菓子のテーマとしても定番で、通常は紅色がもう少し濃い色に表現されることが多いですが 、ささまさんのは、白色かと見間違えるほど淡いピンク色です。 

よく見かけるソメイヨシノは白っぽいピンク色のものが多いので、かえってリアルですね。 


柳緑花紅は、”自然のままであること”と、”春の美しい景色”を表す四字熟語で、中国宋代の詩文家、蘇軾(そしょく)の「柳緑花紅真面目」にちなんだ言葉です。 

柳は柳であり、花は花、そこには価値の優劣もありません。ありのままを、ありのままに受け取り、そこに真実を見ること。なんだかむずかしいですが、それが「禅」の心なのだそうです。