「菜種(なたね)」求肥製:ささま
白餡を緑色に染めた求肥で包み、周りに鮮やかな黄色に染めたカルメを付け、菜の花畑を表現しています。
カルメとは、カルメラともカルメ焼きとも呼ばれる昔懐かしいお菓子です。砂糖に少量の水を加え加熱して融かし、重曹を加えて手早くかき混ぜ、発泡したところで、冷やしながら軽石状に固めたもの。
中の求肥のやわらかな食感と、カルメのサクサクした歯応えに、砂糖の焦げた香ばしい風味がくせになる、とても美味しいお菓子です。
菜種は、別名菜の花とか油菜とも呼ばれています。古くから野菜として、また油を採るため栽培されてきた作物です。
「眼もさめるように黄色い菜の花」田山花袋
「目にしむような色あざやかな黄の菜の花」飯田栄彦
「春の野を飾って黄色な布を掩(おお)うたような菜の花」長塚節
「遠眼には油絵の具を流しこんだような黄一色の菜の花」檀一雄
「菜の花畑が息も詰まりそうな黄に染まる」辻井喬
菜の花の鮮やかな色について、いろいろな文学作品の中で、さまざまに形容されていますが、このお菓子の黄色は、本当にすばらしい。まるで奇跡のような完璧な黄色です。