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琥珀饅(とらや)

「琥珀饅(こはくまん)」錦玉製:とらや 

寒天を煮とかして白ざらを加え煮詰め、クチナシの実を煮出してよく絞った液を、煮上がる直前に入れて琥珀色に染めます。この寒天液を、瀬戸型にまず三分の一の量ほど流し入れ、餡が浮きも沈みもしない程度に固まったら、白小豆こし餡の玉を入れて二回目を流し入れます。少し固まりかけたら、さらに三回目を流し入れ、一晩冷まし、翌日型からとり出してようやく完成です。 

 

見た目はシンプルなお菓子ですが、作るのにはとても手間ひまがかかります。 

 

黒船来航の8年前にあたる、弘化2年(1845)に初めて創作された歴史あるお菓子です。

 

 

中の餡は真っ白な白餡ですが、錦玉越しにみると、まるで卵の黄身のように鮮やかな黄色に見えるのが面白いですね。 

 

透ける素材が夏らしく涼やかな雰囲気を醸し出しています。 

 

お菓子に当てる光の角度を変えると、より落ち着いた、引き込まれそうなほど深い色に変化するのも楽しいですね。

 

 

寒天を煮溶かし砂糖や水あめを加えて煮詰め、型に流し入れて固めたものを錦玉(きんぎょく)または錦玉羹(きんぎょくかん)といいますが、別名琥珀(こはく)とも琥珀羹(こはくかん)とも呼ばれます。 

 

錦玉は主に関東、琥珀は関西で使われる言葉です。