「姫橘羹(ひめきつかん)」錦玉羹製:老松
お菓子の「菓」は果物を、「子」は種子を表しているように、果物と木の実は和菓子の起源とされています。
日本書紀や古事記などに登場する「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」は"時を選ばず香る果物"という意味で、「橘」の実であったとされています。
そんなわけで、橘は日本の菓子の起源とされています。
金柑は古名を姫橘(ひめたちばな)といい、その名の通り、夏に小さく可愛い白い花を咲かせます。
この爽やかな金柑の風味を生かして、美しい黄金色の錦玉羹に仕立てたのがこのお菓子です。
以前に紹介した同じ老松さんの「梅酒羹」と色合いがよく似ていますが、姫橘羹の方がやや色が濃い感じですね。
こちらが、「梅酒羹」です。
姫橘(ひめたちばな)の「橘(たちばな)」は柑橘類(かんきつるい)の「橘(きつ)」でもあるので、菓銘ではあえて「ひめきつ」と呼ばせているのもおもしろいですね。
金柑特有の酸っぱさは和らげられていますが、清々しい香りは十分に残っていて、よく冷やしていただくと、ひとときでも暑さを忘れることができました。
金柑