「ニコン様から精密機器のお届け物で〜す」
ある日突然ニコンから宅配便が届きました。
カメラ関係のものは何も注文した覚えはありません。
誤配達だと思い、送付先住所を確認すると、ちゃんと自分の住所と名前になっています。
伝票には「精密機器 取り扱い注意!!」と但し書きがあり、梱包の箱にも「精密機器」の文字と、割れ物注意のマーク、さらに英文字で「リチウムイオン電池注意!」と書かれるなど、ただならぬものが入っている雰囲気が漂っています。
持ってみるとずっしりとして、一眼レフくらいの重量感があり、ますます謎が深まります。
間違いなく自分宛なので、とりあえず開けて中身を確認してみることにしました。
段ボール箱の中は、小さな細長い風船が連なったような緩衝材が隙間なくつめられていて、その中からプチプチで包まれた箱が出てきました。
20センチ四方の平らな箱です。これまたニコンのマークの入った包装紙で丁寧に包まれています。
箱の形からするとカメラではなさそうですが結構重さはあります。なにか付属品でしょうか?
はやる気持ちを抑えられず、すぐに包みを破いてみると、な、なんと中から現れたのがこちら!
「Nikon ようかん」
あの光学機器メーカーのニコンとようかんのありえない組み合わせに一瞬思考回路が停止してしまいました。
SONYならぬSQNY、HONDAならぬHOMDAといった、アルファベット1文字違いのインチキ類似商標かとも思いましたが、何度見てもあのNikonそのものです。
さらに箱を開けてみると、本煉、小倉、柚子の三種類の風味の羊羹がちゃんと並んで収まっているではないですか。
精密機器?ニコン??羊羹???
となっている私をみて、相方がネタばらし。実は私を驚かせようと私の名前で注文してプレゼントしてくれたものだったのです。
それにしてもなぜあのニコンが畑違いの羊羹を作ったのか?
ネットで調べてみると、このニコンようかんは昭和30年頃に社員用として製造され、里帰りの時のお土産として、また、営業での挨拶回りなどに使われていたそうです。
当時は一般販売はされておらず、ファンの間では「幻の羊羹」と言われ話題になっていたといいます。
そして2001年に、同社がオンラインショップを立ち上げる時に、一般向けとしても販売を始めたということです。
ただ、ニコンの社内で製造しているわけではなく、栃木県の「本宮」という菓子製造会社が委託を受けて作っているOEM商品なのです。
種類は小倉、塩、本煉、柚子、胡麻、栗の6種類あります。
さて、お味の方ですが、さすがカメラの会社だけあってどの味も焦点のしっかり定まった美味しい羊羹に仕上がっていましたね。
三種類の中では甘さ控えめで、水羊羹かと思うくらいあっさりした本煉が一番私の好みでした。
「ニコンようかん(本煉)」
それにしても、精密機器扱いの厳重な梱包で送られてくる遊び心には感心しましたね。